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初めての縦走(北岳〜間ノ岳〜農鳥岳)道具編

「初めての縦走(北岳〜間ノ岳〜農鳥岳)」と題し、数回に分けてその魅力を綴っています。
今回は道具編を書き留めたいと思います。


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登山を終えて、あらためて感じたことは、道具の大切さでした。
はじめから終わりまで足を守ってくれた山靴、多くの荷物を一つにまとめてくれたザック、自分の位置を示してくれた地図、身体を支えてくれたストック…思い返せば、これらの道具がなければ、山を登ることはできなかっただろうと思えてなりません。


ひとえに登山道具といっても、その選択肢の幅は広く、多岐に渡ります。実際店頭に足を運び見て回ると、何から揃えれば良いのかと、迷ってしまったのを覚えています。そんな迷える道具選びも、いくつかのポイントをおさえるコトで、楽しく進めることができました。


山道具選びの3つのポイント


1 テント泊か山小屋泊か
2  必要最低限を知る 
3 こだわりポイントは何か


1 テント泊か山小屋泊か


一般的な縦走では、山の中に泊まることが前提です。
山に泊まる方法は、大きく分けて2つあります。テントか山小屋かです。そこで、まずはじめに「自分(たち)がどうのような縦走をしたいか」を決める必要があります。衣食住の全部を自分の力でやり遂げたい、身軽で安全な登山が良い、メンバーと協力しあいながら賢く登りたいなど、テーマを決めることで、自然と揃えるべき道具が見えてきます。これは後述する「こだわりポイントは何か」につながる部分でもあります。


「自身の宿を自らの手で組み立て、食事も自分でこしらえたい」そんな方は”テント泊”になるでしょう。テント泊は”家を背負う”とも言われ、縦走の醍醐味が詰まっていますし、達成感もひとしおだろうと想像できます。その分揃えるべき道具は多くなり、必然的に背負う荷物は重くなります。その点、初めての縦走者には、ややハードルが高いようにも思えます。


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一方の”山小屋泊”はどうでしょうか。
布団で寝れる安心感、温かいご飯を食べた後の満足感を味わうことができます。荷物もテント泊に比べると、格段と少なくてすむことは、疲労度にも大いに関係してきます。その分、平均して一泊約9000円ほどの宿泊費用が必要となる点は見過ごせません。


今回「気持ちの良い初縦走」をテーマにした僕たちは、山小屋に泊まることにしました。
メンバーの中には、テント泊経験者もいたので、どちらにしようか最後まで迷いましたが、山小屋に泊まってみたいという思いもありましたし、道具購入の予算、メンバーの経験などを考えると、この選択は自然であったように思えます。


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2  必要最低限を知る 


ついついあれもこれもと欲しくなってしまうのは、仕方のないこと。
とはいえ、際限のない物欲を満たせる人というのは、多くはいないのではないでしょうか。山道具を購入するにしても、日常生活同様に、大まかな予算を立てて、計画的に買いそろえることが求めれます。
まずはじめに「最低限必要なモノ」を洗い出すことが肝要です。
これだけはないと登れないという道具を揃える、その後に自分が欲しいなと思ったモノを追加していく。当たり前に思えることも、道具選びに夢中になればなるほど忘れてしまいがちです。


それと合わせて重要なのが「重さ」です。
「背負う荷物が20kgを超えると、人の体は苦痛に感じる」と”遊歩大全”の著者、コリン・フレッチャー氏はこう言っています。もちろん、20kgは人によっては10kgかも知れませんし、30kgかも知れません。重さに関しては、経験によって知るところが大きく、個人差があると思います。
僕の場合は”17kg”に設定しました。 20kgの荷を背負って歩いてみた時に、山ではキツイかもと思えたからです。


ここに、実際持っていった道具とその重さの一覧を載せました。
参考程度ですが、僕の場合の重量は…
総重量 16660g
最低限必要な道具 12780g
となりました。 
なかには、手持ちの道具で代用できるものもあるかと思います。それらを積極的に活用していくことも賢い揃え方と言えそうです。また、ウルトラライトと言われる最軽量の道具を買いそろえ、身軽さを追求される方も多くいるようです。自分の体力や経験、メンバー達と相談しながら選ばれてみてはいかがでしょうか。


道具一覧

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3 こだわりポイントは何か


必要最低限を知り、道具の重さを考えるのには理由があります。
それは、空けたザックのスペースに「こだわりを詰め込む」ためです。
うえにも書いたように、どういった縦走をしたいかを考えていると”これだけは”といったこだわりポイントがうまれました。僕の場合それは「写真/お酒/読書」でした。


人にとって一見無駄に思えるモノも、自分にとっては成否を分ける、大きなモノであることは少なくありません。今回は750mlのワインであり、1990gのカメラ用品であり、150gの本というわけです。この約3kgのこだわりは、モチベーションを高め、満足感を満たし、登山の成功へと導いてくれたと言っても、言い過ぎではないと思います。


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また、こだわりを詰め込むスペースを確保するために、パッキングにもこだわりました。
パッキングは、いかに小分けに収納させるかがポイントです。用途、使用頻度、重量、取出しやすさなどを考えて詰め込むことで、同じ荷物でも驚くほど軽くなったり、その機能を十分に発揮できると実感しています。


パッキング方法

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A ここは荷を支える重心です。道具の中でも重たいモノを詰めます。


B 背中に近いこの部分は比較的重く、使用頻度の低いモノから詰めていきます。


C ここは軽くて壊れにくいモノを詰めます。


D 背中より高くなるこの部分は重たいモノを避け、使用頻度の高い物を詰めます。 


このパッキングをしていく上で活躍してくれたのが、「スタッフバック」と「ジップ付きビニール袋」です。
スタッフバックは大・中・小とサイズの違うものを買いそろえ、ジップ付きビニールは100円均一などで数種類購入することをオススメします。


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救急道具

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ちいさなこだわり

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地図入れを山専門店で見ると、思いの外高価だなとおもいました。
そこで、ジップ付きビニールに入れてみるとこれで必要十分でした。1回きりなら強度的にも大丈夫。 


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手袋もこだわり出すとキリがありません。
いっそのこと軍手でいこうと思い、指先を3本切って使ってみると、これはこれで使い勝手が良く、軍手なので汚れや傷を気にすることなく、タフに使うことができました。 


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小銭は以外と使います。
トイレや水を汲む時にも必要です。その都度、ザックの中からわざわざとり出すのは面倒です。そんな時は、カラビナ付きの小銭入れが便利です。腰やザックにつけて持ち運び、さっととりだせてなかなか重宝します。


縦走に合わせて買ったモノ


ここでは、実際に購入、使用したモノをご紹介します。


ストック

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他のメーカーに比べるとかなり安価なストックですが、強度、重さとも問題ありません。初めての一本には良いかも。




ウールの靴下

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たかが靴下と思っていましたが、その履き心地には驚きました。綿+化繊の靴下と履き比べましたが、全く別ものです。蒸れない、柔らかい、臭くない、良い買い物でした。


berghaus(バーグハウス)|ウィメンズイーウールトレッキングクルーの詳細 | 登山用品・アウトドア用品の通販なら好日山荘WebShop


ワインケース

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ワインを飲みたいけど、ボトルは重いし、飲みきれないかも…という悩みを解決してくれたのがこれ。ちょうど1本分をいれることができます。エア抜きもできて酸化防止もバッチリ。



コンパス

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コンパスも種類がたくさんあり迷ってしまいます。このコンパスは評価も高く、見た目も良さげだったので購入しました。


 



マルチツール

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経験上、マルチツールに多くを求めるべきではありません。必要なのはナイフ、栓抜き、ドライバーくらいです。これはあくまで個人的な考えですが。



登山靴

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靴が好です。ゆえに時間をかけて選びます。山道具選びにおいても例外ではありません。まずは履き心地、そしてブランドの背景、飽きないデザインと考えた末に辿りついたのが「スポルティバ バルディフィメ GORE-TEX」。使用感も良い感じ。


スポルティバ バルディフィメ GORE-TEX NIPPIN


コッヘル

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コッヘルとは、アウトドアで使う携帯用小型調理器具のことです。軽くて熱伝導も良く、ふた付きなので中にドリップコーヒーを入れて持っていきました。



最後に


今回は山登りで大切な道具について、大きく3つのポイントに分けて書き留めました。
私的ではありますが、道具の選び方、パッキング方法、実際に使ってみての感想などをまとめるなかで、改めて道具の有難さを感じたところです。また、日々進化する道具の背景には、先人達の知恵があり、危険を伴う登山経験があったことを忘れることはできません。


山小屋泊を経験し、次はテント泊かと思いを巡らせています。
想像の広がりは、財布の広がりと比例する。そのことを考えると、さらなる計画性が求められことは間違いなさそうです。


 

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