本書の特徴は、圧倒的な読みやすさです。
現在主流といわれる資本主義。
そして自由。
その源流を知る上でうってつけの一冊でした。
ミルトン・フリードマンはアメリカの経済学者です。
彼は本書のなかで、大きく3つのことを主張しています。
1 経済の自由
2 政治の自由
3 小さな政府
フリードマンは、マルクスのとなえる社会主義を否定し、競争を前提とした資本主義の立場をとります。
今、資本主義が世界の主流となっていることを考えると、その先見性には驚かされます。
本書が出版されたのは1962年、冷戦時期と重なります。
経済は政府の介入によって不安定になる、そうフリードマンはいいます。
1929年の大恐慌の原因は、中央銀行の金融引き締めが要因だと主張。
2002年、バーナンキFRB理事も認めているところです。
フリードマンは、リバタリアニズム(自由原理主義)の立場をとっています。
個人は独立した存在であり、自由という権利を持つという主張です。
フリードマンの求める自由は、個人レベルにとどまらず、政府に対しても要求しています。
彼は本書の中で「政府のおこなうべきでない14の政策」を掲げています。
農産物の買い取り保障価格制度
輸入関税または輸出制限
商品やサービスの産出規制
(生産調整・減反政策など)物価や賃金に対する規制・統制
法定の最低賃金や上限価格の設定
産業や銀行に対する詳細な規制
通信や放送に関する規制
現行の社会保障制度や福祉
(公的年金機関からの購入の強制)事業・職業に対する免許制度 公営住宅および住宅建設の補助金制度
平時の徴兵制
国立公園
営利目的の郵便事業の禁止
国や自治体が保有・経営する有料道路
いずれの主張も論理的で数字を載せている点、説得力を持っています。
彼の政策は、レーガン、サッチャー、小泉氏など、各国の首脳に影響を与えました。
フリードマンは政治、経済にとどまらず、教育、福祉にも深い見識を繰り広げます。
その主張は賛否に関わらず、考える価値があると感じました。