山登りを始めて、3年が過ぎました。
日帰りハイク、トレラン、山小屋泊、テント泊、縦走、沢登、雪山登山、クライミングなどなど、様々なジャンルにチャレンジしました。思い返せば「山を登る」と一言でいっても、色々なスタイルがあって、その楽しみ方も様々です。
また、自然の中に身をおくことが、こんなにも気持ちの良いことなんだと、教えてくれたのも山登りだと思っています。
山道をザックを背負い、ハアハアと息を切らせながら進む。やっとの思いで山頂に到着し、温かいコーヒーで一息入れる。身も心も充実感に満たされる、この瞬間が大好きです。
そんな大好きな山登りをやっていて、気づいたことがあります。それは、山登りには「3つの大事なコト」があるということ。
「体力・知識・道具」の3つです。
山を登るためには健康な体と、登りきる体力が必要ですし、楽しく安全に進むには知識と道具が欠かせません。当たり前のことですが、とても大事なことだと思うのです。
今回は「3つの大事なコト」のなかでも「道具」について、僕の考えをまとめました。
登山道具に関して、自分なりにトライ&エラーを繰り返しました。本を読んで知った物、登山仲間に教えてもらった物、高価な物や100円均一で買った物など、色々な道具を実際のフィールドで試しました。
自分の目指す「登山スタイル」によって、もちろん必要な道具も変わってきます。一方で、僕の場合はどんな登山スタイルであっても「道具の選び方」は変わりません。「選び方」は「選ぶ基準を持つ」とイコールです。僕には登山道具を選ぶ時に気を付けているポイントが3つあります。それでは、これから紹介したいと思います。
道具選びの3つのポイント
僕の道具選びのポイントは3つあります。
実用的
シンプル
こだわり
実用的=使うかどうか
まず大事なのは使うかどうかです。
「道具は使ってなんぼ」といわれるように、持っているだけでは、その能力を発揮しません。
ついつい、カッコいい道具を見ると買いたくなります。僕自身、買ってはみたものの、実際に一度も使うことなく、タンスの肥やしになっている物も少なくありません。感覚で選ぶことの面白さももちろんありますが、経験からすると感覚で選んだ物は、使ってないことの方が多いようです。
まずは「必ず使う物」
つぎに「よく使う物」
最後に「便利な物」
使用頻度を考え、優先順位を決めて買いそろえるのが、道具選びの大切なポイントだと思います。登山道具といっても、その多くは一般的なスポーツ用品と代替えできます。自分には何が必要なのかを考え「使う道具」を選ぶことが肝要です。
例えば、低山の日帰りハイクの場合だと…
必ず使う物は「登山靴」「リュック」
よく使う物は「機能的なウエアー」
便利な物は「サングラス」「帽子」「時計」などです。
また、登山道具は決して安い買い物ばかりではありません。タフな使用を強いられる登山道具は、使い続けても壊れにくい「頑丈さ」も大切なポイントのひとつだといえます。
シンプルが一番
次に取り扱いがシンプルであることです。
多機能なことで、かえって使いにくい物は、オススメできません。テクノロジーの革新は、山道具にも応用されています。道具が進化するのは、素晴らしいことです。より良い物を作り出そうという姿勢は、人類の進化のプロセスだといえます。
一方で、最新の物が必ずしも良い物だとは思っていません。原始的であっても、昔から使われ続けている物の方が、シンプルで使い勝手のよい物もたくさんあります。
例えば、僕の使っている道具でアーミーナイフというものがあります。
栓抜きや、ナイフ、簡単なマイナスドライバーが一つになった、とても便利な道具です。アウトドア好きの人なら、アーミーナイフへの強いこだわりを持っている人も多いと思います。
僕は「ビクトリノクス ソルジャーCVAL」を使っています。
このナイフのなにが素晴らしいかというと、シンプルなデザインとその使い勝手の良さです。サッと出せて、コンパクトに持ち運べる。多くの機能はないけれど、その分シンプルで扱いやすい。また、このアーミーナイフ、50年以上もほぼ変わらない形でありながら、今もなお使われ続けていることを考えると、良い道具とはこのことかと思わされます。
何が大事かが明確になれば、必要なもの以外は捨てることができます。「あえて捨てる」感覚を持つことで、自分らしい登山ができるのではないでしょうか。
こだわり=大事に使いたいと思える物
3つ目のポイントは、「こだわり」を持つことです。
「こだわり」は言いかえれば「大事に使いたいと思うこと」です。
僕は、好きなブランド、誰かのオススメ、実際に触った感触など、選んだきっかけはなんであれ、道具選びには「こだわり」を持っていたいなと思っています。
「こだわり」は人にひけらかすためでも、高価な物を買いそろえることでもありません。「こだわり」は道具に愛着を持つこと。大事に使いたいと思うことです。なぜこれを買うのか、いつ必要なのか、長く使えるか、ブランドの背景は…僕は一つひとつの問いに、答えを出して選ぶことを心がけています。
道具は愛着を持って使っていきたい。そう思っていると、少し面倒に思える道具選びの過程も、楽しい時間だと感じることができます。
まとめ
山道具は困ったことに、男心と物欲をくすぐります。
あれもこれも欲しくなります。厳選して買ったつもりでも、思えば無駄な買い物したなと、反省することは少なくありません。本当に使う道具、使える道具は限られます。また、道具選びは思いのほかシンプルです。自分なりに道具選びのポイントを持つことは、理想の登山への近道だと思います。
最後に、道具と山の関係は密接だということも忘れることはできません。
道具のある無しは、安らぎ、快適さ、利便性もさることながら、命に関わるといっても、言い過ぎではないでしょう。自分の身を守ってくれるのは「体」と「頭」そして「道具」です。これからも道具を大切に使う姿勢は、忘れてはいけないなと思います。
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