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活版印刷で名刺を作るなら銀座で100年の老舗「中村活字」がおすすめ

活版印刷で名刺を作るなら銀座で100年の老舗「中村活字」がおすすめ

有楽町から銀座4丁目の交差点を越えて、歌舞伎座を左に曲がる。
昭和通りを日本橋方面へ歩き、銀座東2丁目の交差点を右へと進む。
2つ目の路地を左に折れたところにそのお店はある。


「中村活字」さん

創業100年を超える老舗活版印刷屋だ。


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中村活字さんで新たに名刺を注文した。
2011年に初めて訪問してから5年間、何度かデザインを変えながら個人名刺の作成をお願いしている。


名刺を注文しといて言うのも何だが、最近はもっぱら名刺のやりとりをしなくなった。LINE、Facebook、LinkedInといったSNSで連絡先の交換をすることの方が多いし、連絡先の交換を目的にすればITを使った方が合理的だ。プロフィールも関心事もSNSを見れば分かる。そう考えるとこれから先も名刺交換の機会は減っていくだろう。


では、なぜ名刺を作ったのかというと「活版印刷」 が好きだからだ。

活版印刷は、簡単にいうとハンコを並べて印刷したものだ。職人による手作業が基本で、活字拾い、組版、印刷といった工程をたどる。プリンターで仕上げた名刺にはない独特の手触りが心地よく、その風合には品格さえ感じる。

僕は職人の物作りが好きだ。無条件に尊敬する。本物の職人は「クリエイトし続ける人」だと思っている。ニーズを探り、改良を重ね、伝統を守ることで唯一無二の物を作り出す。日本で100年以上続く企業は26,000社あるそうだが、長年続くのには理由がある。その一端に職人の力があることは間違いないだろう。

「ほぼ日刊イトイ新聞」のYouTubeチャンネルに、活版印刷の工程を記録した動画がある。秋田県の山村で、47年間も活版印刷の地元紙を発行している加藤隆男さんの仕事ぶりはまさに職人だ。
中村活字さんの作業現場ではないが、活版印刷の工程がよく分かる動画なので興味があれば見て頂きたい。



 



作り手の中村さんはとても素敵な方だ。
気さくで温厚、ニカッと笑った表情はとてもチャーミング。リピートする理由は、中村さんの人柄の良さに惹かれてるところも大きい。とにかく魅力的な方である。

訪問するといつも雑談をしてくれる中村さんだが、今回は世界一小さな活版印刷の本を見せてくれた。虫眼鏡で見てやっと読めるくらい小さな本で、確かドイツの美術館で売られていると言われていた。実用性はないが、技術力の高さと美術的価値があるんだろうなと感心した。 


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活版印刷で刷られた名刺を渡すと、必ずと言っていいほど「素敵な名刺ですね」と言って頂ける。
僕は得意げに中村活字さんのお話しをする。作業工程や文化、歴史、中村さんの人柄まで熱っぽく語ってしまう。多くの人は興味を持って聞いてくれるし、会話も弾む。ハンドメイドや昔ながらの仕事には、人を惹きつけるパワーがあるなとつくづく思う。


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注文方法は簡単で、デザイン、書体、配置、台紙、墨の色を決めるだけ。
店頭ではサンプルの名刺を見せてくれるので、僕はそれを見ながら自分のイメージを固めていった。

活版印刷そのものの良さを最大限に引き出すには、シンプルなデザインが一番だと思っている。今回は表に縦書きで氏名を、裏に英語表記で連絡先を印字した。墨は「ピース紺」にしてもらった。ピース紺はタバコのPEACEのパッケージに使われている紺色のことで、スタイリッシュでシックな色味だ。


完成まで約1週間。出来上がったばかりの名刺を見る度に綺麗だなと唸る。どんな色味になるか楽しみだったピース紺も正解だった。

中村活字さんのサイトに、フォントの見本や価格表が掲載されているので、興味があれば見て頂ければと思う。
 


株式会社 中村活字
株式会社 中村活字
東京都中央区銀座2丁目13番地7号
電話 03-3541-6563
FAX 03-3541-6574
 info@nakamura-katsuji.com


まとめ


手作りのモノは、作り手の思いが込められているので独特の肌感がある。
合理性を求めた工業製品とは違う何かが伝わってくる。

今、世界で注目されているのは「人にしかできない仕事」だ。
多くの仕事はテクノロジーで代用され、また多くのモノは画一的である。
日本は、モノがない時代から大量生産大量消費を経験し、断捨離へと価値観が変わった。
僕の周りにいる感度の高い人たちは、今までの価値観に飽きてきたように思う。

世の中にはデジタル化できるものと、できないものがある。
手作りのモノは当然「人」にしかできない。
そういった意味でも手作りのモノの価値は高い。

名刺を触るたびに心が満たされる。
作り手の思いが込められているものには、何かパワーがあるように思えてならない。
僕は「中村活字」をこれからも応援していきたい。
 


 


ギャラリー


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