それをきっかけに紳士靴に興味をもった。
紳士靴に対する興味は、ぼくを「紳士靴の聖地ノーザンプトン」へと向かわせた。
成人の時と合わせて買ったその靴は、当時の僕にとっては身の丈以上の高級靴だった。
同時に良いモノにはそれ相応の魅力が詰まっていることを教えてくれた。
ピカピカに輝く靴の美しさ。
靴を作る職人の誇らしい姿。
様々な製法。
歴史と培われた技術。
知れば知るほど、靴に対して興味が湧いた。
靴の魅力は、底知れない”深さ”にあると知った。
こんな具合に靴と向き合っていれば、当然行き着くであろう場所が「Northampton(ノーザンプトン)」という街だ。
ジョン・ロブ
クロケット&ジョーンズ
チャーチ
エドワード・グリーン
トリッカーズ
これら歴史あるファクトリーが軒を連ねる街。
人はこの街を「靴の聖地」と呼んでいる。
ノーザンプトンへの道のりを紹介
ノーザンプトン
イングランド中東部に位置する郊外の大商業都市である。ロンドンの67マイル (108 km)北西、バーミンガムの50マイル (80 km)南東に位置している。
ロンドンからノーザンプトンへ行く方法は…
電車
バス
車(レンタカー)
が考えられる。
僕は電車を選択した。
時間も料金も計算がつき、トラブルが最も少なそうだからだ。
ロンドン市内からノーザンプトンへ行く電車は、ロンドン・ユーストン駅からでているミッドランド鉄道を利用する。
乗車時間は約1時間10分、片道23ポンドで行くことができる。
チケットはカウンターで購入できる。
"Can I have a ticket to Northampton?"
旅の恥はかき捨てだ。
流暢な発音を意識してみた。
思いのほか上手く通じて、往復のチケットを手に入れることができた。
小さな成功体験であり、僕にとっては大きな意味を持った出来事だった。
シューファクトリーの開店時間を考えると、できるだけ早くノーザンプトンに着きたい。
今回は、9時54分発の電車に乗車した。
振り返ると、もう少し早めに乗車すれば良かったと思った。
店舗をめぐったり、散策するには思いの時間が必要だった。
プラットフォームは、観光客が少なく地元感漂う雰囲気。
電車は予定通りに出発した。
走り出した電車に安心しながらも、気持ちの昂ぶりを抑えることはできない。
これから約1時間、距離にして100キロの移動となる。
乗客はまばらだ。
のどかな風景が続く。
途中乗車券を見せるよう求められた以外は、とても静かな時間が流れた。
長くなるだろうと思われた移動も、あっという間に感じたのは、食い入るように見た景色のせいだろう。
ノーザンプトンの街並み
到着時刻も予定通り、夢にまで見たノーザンプトンに降り立った。
このあとファクトリーの開店時間の関係で、ジョンロブへ直行するのだが、そのことに関してはまた改めて書きたいと思う。
これからは、ノーザンプトンの街並みや風景を見て頂き、空気感を感じて頂ければと思う。
街を歩き見た景色は、観光地のように整備されていない。
人通りも少なく、また路上に駐車された車は思いのほか多い。
イギリス郊外のリアルな一面を垣間見たことに嬉しくなった。
気づけば2時間ほど散策していた。
写真もたくさん撮った。
すれ違った人からは、「なんだあの東洋人は」と思われたかも知れない。
しかし、そんなのはお構いなし。
憧れの街にきたのだ、興奮せずにはいられない!