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開高健 著「オーパ!」の読後感は圧倒的

昭和52年夏の70日間、ブラジルはアマゾンの奥地で釣りをしながら旅をした男、開高健の紀行文。
オーパとは、ブラジルで驚いたり感嘆した際に言われる言葉である。
題名に使われている言葉通り、内容もまさに「オーパ」の連続だった。




本書で語られている、野性味帯びた生活は、現代のものとはかけ離れているし、馴染みもない。
無いなりに経験したことと言えば、子供のころの林間学校や、友達とのバーベキューくらいだろう。
今の生活を否定はしない、恩恵を受けているのは間違いないし感謝もしている。
その反面、生きる上で感じる不便さを、解決しようとする必死さや、自然に対する圧倒的な畏怖の念は明らかに希薄だと言える。
そのコトを改めて考える必要があるかないかを問われると、人によっては無いのかもしれない。
では、この本を読む必要はないのかと言われると、それもまた違うのではないだろうか。
クリエイティビティだったり、仕事術として、役立つことは書いてないかもしれないが、人間本来のもつ、(例えば、暑、寒、痒、臭、恐怖、不安といった)感覚を研ぎ澄ます力や、文明社会で生きる現状と、そう遠くない過去を測る一つの物差しとして、読まれるべき一冊だと感じた。
今目の前で起きていることがすべてではないということ、見聞を広めたいという欲求、食べ物への謙虚さ、文明に対する感謝の気持ち、人との出会いと深い関係性…読み進めるほどに、様々な思いが錯綜し、密林へと迷い込んだ錯覚
すら覚えるのも、本書のもつ一つの魅力である。
曖昧、旅愁、醍醐味、興奮の入り混じるなんも言えない読後感に浸り、物思いに耽る中で、そんなコトを考えていた。

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