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ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか Book memo

本書で取り上げている、23の利益モデルのメモ。



(1) 顧客ソリューション利益モデル
時間とエネルギーを注ぐ。顧客について知っておくべきことをすべて知る。その知識を顧客固有のソリューションの開発に活かして利益をあげる。短期の損失を知った上で長期の利益を目指す。
例)コンサルティング型ソリューション提供


(2) 製品ピラミッド利益モデル
プレミアム商品と低価格帯商品により製品ピラミッドを構成する。
低価格帯商品を販売することで、他社がもっと安い価格で市場シェアを奪う可能性を回避する。そのうえで高付加価値商品を独占した顧客に販売することで利益をあげるモデル。
例)バービー人形<アクセサリー・他の人形<コレクター用高級人形


(3) マルチコンポーネント利益モデル(コンポーネント=ビジネスの構成要素を意味する)
同じ顧客に対して、購買機会に応じて同じ製品の販売価格を変えるモデル
例)コーラ(自販機・レストラン・スーパーで販売価格が違う)


(4) スイッチボード利益モデル
ビジネスに必要な要素をパッケージ化・組織化することにより、商品性および影響力を向上させて販売する利益モデル。マッチングビジネスで力を発揮する。
例)タレント・脚本・制作会社のつなぎこみをするタレントエージェント


(5) 時間利益モデル
新製品を開発しても競合他社に模倣される商品特性を持つ場合に、可及的速やかに利益回収するために市場浸透・回収プロセスをシステム化する利益モデル。
例)半導体・金融商品


(6) ブロックバスター利益モデル
数点の大ヒット商品(ブロックバスター)が利益を支える業界の利益モデル。ブロックバスターの開発にリソースを集中するためのマネージメントシステムを運営することにより利益が向上する。
例)製薬開発、映画


(7) 利益増殖モデル
キャラクター、ストーリー、技術といった資産を様々な形式で繰り返し再利用することにより、コストの低減・事業成功可能性を向上させる利益モデル。
例)ホンダ(エンジン・モーター)、ディズニー(キャラクター)


(8) 企業家利益モデル
徹底した倹約精神、明確なコミュニケーション、スピード、挑戦、仕事を面白がるといった企業家精神を持ったリーダーが情熱を持って取り組むことにより生まれる利益。
例)サムウォルトン、ジョンヒューイ(ウォルマート創始者)、本田宗一郎


(9) スペシャリスト利益モデル
業界を知り尽くしたスペシャリストを揃えることで、ナレッジから生まれる低コスト化・業界内高評価による価格優位性・稼働率向上・ソリューション横展開・新商品開発の頻度向上がもたらす利益モデル。
例)EDS、ウォレス、ABB、弁護士ファーム


(10) インストール・ベース利益モデル
ハードウェア販売では利益を狙わず、継続的に購入する消耗品で利益をあげるモデル。
ハードウェア販売では買い手に選択権があるが、消耗品販売では売り手に主導権が移ることによりモデルが成立する。
例)コピー機、かみそり、ポラロイドカメラ


(11) デファクト・スタンダード利益モデル
業界の主導権を握ることで、マーケットの動きをリードして予期せぬコストなどを回避できる。また、顧客が基盤共有のため、他の顧客に自社商品を広げてくれる等の優位性により得られる利益モデル。
例)マイクロソフト、オラクル


(12) ブランド利益モデル
ブランドを確立することにより、価格プレミアムを成立させる利益モデル。
例)コンパックPC、ナイキ


(13) 専門品利益モデル
ニッチ向け専門品により収益をあげるモデル。
例)精製化学製品、染料、特殊用紙、専門食品


(14) ローカル・リーダーシップ利益モデル
ターゲットエリアに重点出店することにより、同地域内での絶対的優位性を確保し(仕入れ価格低減、リクルート・宣伝費の効率化・プライシング)、競合を退出させることにより利益を受けるモデル。
例)スターバックス、ウォルマート


(15) 取引規模利益モデル
大口取引を獲得することで、利益率を高める利益モデル。ただし、大口の取引を獲得するためには、関係性の構築が必要であり、取引当初は赤字になる可能性もある。


(16) 価値連鎖ポジション利益モデル
バリューチェーンの中のコントロールポイントを支配することで利益を上げるモデル。
例)インテル、マイクロソフト


(17) 景気循環利益モデル
コスト削減等により損益分岐点を下げることで、販売量の増減の影響を最小限にして、コンスタントに利益を出す利益モデル。もしくは、価格変動に合わせて市場価格よりわずかに高い価格設定をすることで利益を生み出すモデル。
例)トヨタ、ユニバーサルケミカルズ


(18) 販売後利益モデル
ある製品を購入した後に発生するフォローアップ製品やアフターサービスから生まれる利益。購入者の選択肢が少ないため、価格感応性が低く高い利益を生み出すことが可能となる。
例)PCの追加メモリ、自動車保険など


(19) 新製品利益モデル
プロダクトライフサイクルにより、時間を横軸と利益を縦軸においた場合の相関は、パラボラ型(半円型)となる。利益量がピークになった段階で、投資を最小限にして、利益を最大化することを狙う利益モデル。
例)車、テレビなど


(20) 相対的市場シェア利益モデル
相対シェアを大きくして規模の経済を働かせることで、コスト削減・購買力向上・優秀な人材確保を可能とするモデル。その結果、利益変動性リスクも小さくなる。
現在ではシェアをおさえていなくても、バリューチェーンリーダーやデファクト・スタンダード保持者が同様のポジションを抑えている。
例)GE(ジャックウェルチのプロダクトポートフォリオ)


(21) 経験曲線利益モデル
経験(生産量)が増えるにつれて、熟練により1単位あたりの費用が低減し利益を生み出す。しかし、コストマネジメントに集中しすぎると、業界外から来る変化に対応できずに市場退出を迫られる可能性もある。


(22) 低コスト・ビジネスデザイン利益モデル
ビジネスモデルの転換が5,6年で起きており、先を見通し早くから新しいビジネスデザインを用意することにより、ビジネスモデル転換に対応する。


(23) デジタル利益モデル
ITを活用による収益性の向上。コールセンターコストの削減、顧客がWEBからオーダーすることによる在庫リスクの低減など。
例)デルコンピュータ


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