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「社会とどうかかわる」を読んで

社会との関わりを考えていると、一つの学問に出会いました。

公共哲学と言われるその学問は、政治、経済、法律、哲学、教育といった分野をまるっとまとめて、「個人が社会とどう関わりを持つか」を考える学問です。滅私奉公を代表する「欲しがりません勝つまでは」的な考えも、滅公奉私のような「自分が良ければいいじゃん」的な考えも、ここでは否定的です。

人は1人で生きることはできません。社会と関わりを持ちながら生活することが必要です。では、社会が求める個人のスタンスとは、どのようなものなのでしょうか。

孔子の言葉に「和して同ぜず」という言葉があります。違う考え方を受け入れながらも、自分の考えをしっかり持つ、と言った意味です。

大事なのは、自分の考えを持つことだと思います。そこで、忘れてはいけないのは多様性です。幹はしっかり太く、枝葉は八方に広がり風になびく、しなやかな大木のような存在が理想的だと考えます。

本書は、善悪をやや断定的に示しています。その点、疑問も生まれますが、深く考えさせられるきっかけにもなりました。また、憲法や教育基本法を取り上げ、この国の根本的な方向性を再確認できたことは、社会と関わる上で、大きな意味を持つだろう、そう感じています。


社会とどうかかわるか――公共哲学からのヒント (岩波ジュニア新書 608)
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