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「神泉 いちのや」で年に一度の鰻を堪能した

蒸し暑い日が続いている。
しかしこの季節も嫌いではない。それは鰻を食べる楽しみがあるからだ。 年に一度は必ず食べている鰻。今回は、渋谷は神泉にある「いちのや」さんで頂くことにした。


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愛想の良い店員さんが迎え入れてくれた。 「出来上がりに50分かかる」と告げられ、通されたのは、一番奥のカウンターだった。入店したのは11時30分。店内には、まだお客の姿はない。席は掘りごたつになっていて、ふかふかの座布団が迎えてくれる。席につくとお茶とメニーが渡された。お品書きを一瞥し、うな重を注文した。出来上がりまで50分。長いように思われる待ち時間も苦にならない。それも一つのスパイスだと思えるからだ。


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「トントントン」と小気味の良いリズムが聞こえる。お新香を切る音だろうか。厚い木のまな板と切れ味の良い包丁を想像した。 壁は乳白色に塗られ、天井にあしらわれた簾の隙間からは、立派な梁が覗いている。 もう一度耳を澄ませると、せせらぎが聞こえてきた。蒸し暑い日のささやかな納涼だ。


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20分ほどたっただろうか、お茶を新しいものに変えてくれた。ぬるくなってきたなと思った時だったので、そのタイミングの良さと、おもてなしの心に好感を覚えた。落ち着いて店内を見渡していると、タレの焼ける香ばしいかおりが鼻をかすめた。夏の到来を感じさせるこの香りは、まさに日本の風物詩であり心だと言える。


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入店して1時間が経った頃、僕1人だった店内は、鰻を求める客でほぼ満席になっていた。 時を同じくして、注文のうな重が運ばれてきた。漆器独特のぬらぬらとした佇まい、湯気にのった三つ葉の香りが立ちこめ、期待感を煽る。


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まずは、肝吸いをすする。食道を通り、空腹の胃袋に温かい汁が流れ込む。鰹だしのよく効いた汁、ぷりぷりの肝、三つ葉の香りが、食欲を増す。


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重箱の蓋を開ける。キラキラとした鰻と、立ちこめる香ばしいかおりに心が踊った。さっそく箸を入れる。ふわふわとした身を箸先に感じ、ほろっとほぐれた。甘辛いタレと鰻の脂が、白いご飯に絡んでいる。身とご飯を一緒にして口に運んだ。何物にも変え難い幸福感が口の中に広がった。日本人で良かったと心から思える瞬間だ。タレは甘味とコクがあり、少しあっさりとした感じだ。


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歯ごたえの良いお新香を、間に挟みながら箸をすすめる。鰻とたくあんの相性の良さに感心した。山椒をかけてみる。鼻に抜ける独特の香り、舌にはしるピリリとした辛味が良いアクセントになって楽しくなった。少なくなっていく重箱の中身に寂しさを感じながら、あっという間に平らげてしまった。


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誰か言ったか「鰻を食べるという事は、人生で贅沢をするという事ではなく、人生を堪能するという事だ」うな重を食べ終え、そんな言葉を思い出した。御馳走様でしたとつぶやき、来年の鰻に思いを馳せお店を後にした。その足取りは心なしか軽快で、力強さを感じた。


いちのや 神泉店

昼総合点★★★★ 4.0



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